コラム「メキシコの地震センター」
2017年9月19日に起きたメキシコ大地震以降も、メキシコシティでは何度か地震警報が鳴り響き、その度に不安な気持ちにさせられるが、今回はその警報の仕組みについて簡単に説明したい。現在メキシコでは61の地震観測センターが機能している(活動停止中のセンターを含めると合計97センター)。
1985年9月19日のモレーロス州での地震以降は、主に太平洋側にあるココスプレートに近いゲレロ州にセンサーが設置されている。
去年9月19日の地震で、地震警報が鳴ったかどうか、自身もパニックを起こしていたのでうる覚えだが、揺れる直前に鳴ったという記憶はない。その理由というのは、震源地がメキシコシティから100キロ程しか離れていない内陸部のモレーロス州だったことで、太平洋海岸線に集中しているほとんどの地震センターから離れ過ぎていたというものらしい。
つまり、技術的なエラーにより警報が鳴らなかったのではなく、建物から避難をするための時間的余裕を持てるほどの事前検知ができなかったというのが公式な見解であった。この地震の直前の9月7日に起こった、メキシコシティから750キロ離れたチアパス州で起こった地震では、地震センサーが感知できるほど近い場所であったため避難する時間的余裕があった。しかしながら、同19日のモレーロス州とプエブロ州付近は地震が活発な地域ではなく、地震センサーが反応できる境界線から離れていたため警報機がタイムリーになることはなかったというのだ。
政府は、メキシコ全土の隅々まで地震センサーを設置することは技術的および予算的にも難しく、現状では地震が比較的多い太平洋岸に集中させるしかないという。地震がどこで起きるかを予想するのは困難であるにもかかわらず、内陸部に新しく地震センターを増設するという話は今のところ公表されていない。何とも心細いものだ。